教育
私は小学校4年生の頃、将来の夢は?と担任の先生に聞かれ「アイドル歌手」と答えました。
するとその担任の先生は
「その夢は私の他に誰かに言いましたか?」と言ってきたので
「いいえ。昨日、ザ・ベストテンを見て、回転トビラから上手に出て来るアイドルのタイミングの良さに感動しただけなのでまだ誰にも言っていません」と言いました。
すると「ミラーゲートね」と担任は言い、
神妙な面持ちで「今ならまだ間に合うのでその夢、取り消しなさい」と言いました。
私は特急電車と急行電車がすれ違う際に放つファァン!!!という音並みの大声で
「はぁあ?」と言いました。
すると担任は、ゆとり世代の初接客並の小さな声で
「いいから、その夢取り消しなさい」と私の耳元で囁いたのです。
私はこれほどの恐怖を味わった事はありませんでした。
人の夢を自ら聞き出し、すぐさまその夢を取り消せと言う鬼教師。
何らかの理由があるならまだしも、理由なく人の夢を踏みにじろうとは!
ふん!この鬼教師に妥当な理由などありはしまい。
そこで私は聞いてやりました、その理由とやらを。
すると鬼教師は黙って黒板の方に向かい、毎日子供たちに勉学を教えるためだけに使われてきた、指の爪が黒板をひっかくほどに短くなった白チョークでこう書いたのです。「顔!!」と。
私はびっくりしました。理由があったことに!そしてその理由に!
そこからの記憶はありません。
多分、走って帰ったのだと思います家に。当時は自転車には乗ってませんでしたから。ローラースケートも持っていませんでしたから。
そして、帰るなり母親にこう言ったのです。
「夢破れたり!」と。
すると母親は「どんな夢?」と普通にせんべいかじりながら聞いてきたので
私が「アイドルになるっていう・・・」と言うや否や
「びゃ~~~~~!!」と母親は叫びました。
そしてレースのカバーをむしり取り、黒電話の受話器をあげ、学校に電話したのです。
ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ、ジーコ。
緊急だというのに黒電話のもどかしさよ!
そして母は当時の担任を呼び出し「ありがとうございます!」とお礼を言うと
そっと受話器を置き(チン!)私を優しく抱きしめてくれたのです。
時に親またそのまわりの大人は客観性を持って子供の夢に向き合うことが大切です。
かわいいアイドル枯渇時代において。